http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/037/0514/03712200514004a.html
[053]
日本共産党 須藤五郎
日韓会談の目ざす真の意図、真の背景は、私はあとで追及することといたしますが、その前に、まず聞いておきたいことがあります。
それは、昨日の新聞によりますと、韓国の鄭教授初め女子学生36名が朝鮮民主主義人民共和国に渡ろうとして途中で遭難し、日本漁船に救助されたが、政府はこの人たちをその現場から直ちに韓国政府に引き渡したと伝えられております。それは事実かどうか伺いたい。
[054]
外務大臣 小坂善太郎
そのようでございますが、その状況につきましては、政府委員から御答弁いたします。
[055]
説明員(外務省アジア局外務参事官) 宇山厚
12月17日の正午過ぎに大洋漁業の第七十六東海丸及び第七十七東海丸が、北緯34度34分、東経123度31分の地点――これは大黒山群島の西方約95海里のところでございますが――ここで韓国人42名を乗せて漂流中の韓国漁船(約30トン)を発見いたしまして、救助を依頼されました。
その両漁船は、この依頼に応じまして同日の午後4時20分ごろ、北緯34度31分、東経123度30分の地点で当該韓国漁船から、乗組員を除く学生及び教師らしい韓国人男28人、女8人、合計36人のうち、第七十六東海丸に男1名、第七十七東海丸にその他の35名を収容したのでございます。
その件につきまして通報を受けました海上保安庁の巡視船の「いき」「さつま」「くさかき」及び「くろかみ」は、風速15メートル、波浪6という現場の状況を勘案いたしまして、両漁船の海難事故を予防するため、及び両漁船を保護するために現場に急行いたしまして、巡視船「いき」は18日8時、「さつま」は同日の9時40分「くさかき」は同日の13時45分に両漁船に会合いたしました。
他方第七管区海上保安本部では、本件を釜山海岸局に通報するとともに、これらの2つの東海丸に収容中の韓国人を済州島周辺におきまして韓国艦艇に引き渡したい旨を連絡をいたしましたところが、韓国側は直ちに了解いたしまして、当該韓国人の救助に協力するように韓国の船を同方面に向けて派遣いたしたのでございます。
そのようにいたしまして同日の午後8時ごろ、これらの収容いたしました韓国人36名を先方に引き渡しまして、同日の午後10時50分その引き渡しを完了いたしまして、この第七十六東海丸と第七十七東海丸は20時に自己の漁場へ復帰した、こういう状況でございます。
[056]
日本共産党 須藤五郎
その際この学生たちは、日本に政治的亡命を申し出たということが伝えられておりますが、これは事実かどうか伺いたい。
[057]
説明員(外務省アジア局外務参事官) 宇山厚
この学生たちは、まず安全な地帯に連れて行ってくれということを申しまして、日本に亡命したいということを申したという事実はないように聞いております。
[058]
日本共産党 須藤五郎
彼たちが安全な地帯に連れて行ってくれということは、すなわち私は亡命を希望した言葉だと思う。韓国に連れ帰られるならば、すなわち安全な地帯ではなく、これは最も危険な地帯だといわなければなりません。なぜ彼らの要請を無視して彼らを韓国に引き渡したのか、政府に対して亡命の申し出がありましたら、少なくとも保護を加えて調査し、彼らの意見を十分聞いた上で適切に処置するのが当然ではないかと私は考えます。それもやらずに現場から直ちに最も危険な韓国に引き渡すようなことをやったのはなぜか。これは明らかに非人道的で国際慣行を全く無視したやり方だと私は思います。その理由を明らかに説明されたいと思います。外務大臣どうですか。
[059]
外務大臣 小坂善太郎
ただいま政府委員から御説明申し上げましたような、非常に波浪の高い、しかも暴風ともいわれるような状態のもとにおきまして、非常に大ぜいの人を積んでおるということは、その積んでおる船自体が危険でもございますし、できるだけ早く他の船に引き渡すということは、これは国際慣例から申しましても船自身の安全のためから申しましても当然なことだと思います。しかも安全な所へ移りたいというその要求につきましてさような措置をとったものだろうと私は思います。
[060]
日本共産党 須藤五郎
この事件につきまして、昨日在日朝鮮人総連合代表が海上保安庁におもむきまして抗議をいたしております。そのときに海上保安庁の警備救難監はこういうことを言っております。今回の措置は軽率だった、事務的な処置を急いでああいうことになったが、今後は外務省とも打ち合わせをして慎重にやりたい、こういうふうに弁解しておるのです。この弁解からみましても、今の外相の答弁は当を得た答弁だということができませんが、もう一度運輸大臣なり何かからこういうことが事実あったのかどうか、その点について答弁をしていただきたいと思います。
[061]
外務大臣 小坂善太郎
運輸大臣から御答弁があると思いますが、私はさようなことを海上保安庁の係官が申したということは聞いておりません。
私どもは先ほど申し上げたようなあの状態においては、できるだけ救助した船自身の安全をはかる上からいっても、またその救助された人の人命の保護からいってもできるだけ近い所へ安全に移すということは、これは国際慣例であると考えております。
[062]
運輸大臣 木暮武太夫
お答えを申し上げます。今、韓国人救助の概況につきましては外務省の方からお話申し上げました通りでございます。操業をいたしておりました日本の漁船がいわゆる人命救助というヒューマニティを発揮して、そうして36人の人を助けてあげたわけなんです。それでお助けをしまして、それから自分たちの方も漁場で操業しておるものですから、なるべくもよりのところへこういう方々をお助けするということは当然だろうというようなことでやったわけでございます。
ただいまお話中の、何か海上保安庁の役所の人から、これからは外務省と連絡をとってどうこうするというようなことをいって、あたかも今回の処置が手落ちがあったようなことを申されたというお話でございましたが、そういうことはないように私は聞いております。ここにその方の係の人がおりますから、その方から詳細にお聞き下さいましてどうぞ御納得を願えれば幸いだと存じます。
[063]
説明員(海上保安庁警備救難監) 松野清秀
私海上保安庁の警備救難監の松野でございます。今お話がありましたように、在日朝鮮総連の方の代表の方がおいでになりまして、いろいろお話を承っております。それでその際、私は当時の模様をお話しまして、先ほど外務大臣からのお話がありましたように、当時の天候等から見まして、まずすみやかに安全な所に行くということがこれは当時の模様からいいましても当然であり、また従来私どもは外国の船員等を救助しましたときにはいつも相手国に連絡をいたしまして、そうしてできるだけ早く引き渡すという措置を従来からもとっておりました。今回もそういう考えからああするのが適当であったとわれわれは存じております。こういうことを申し上げたわけでございます。手落ちがあったから今後慎重にやるということを申し上げたわけではないのでありまして、むろんいかなる場合におきましても私どもは慎重を期するということはこれはもう当然でありまするし、そういうようなことは申し上げましたが、今回の措置が誤っておったということは申し上げておりません。御了承願います。
[064]
日本共産党 須藤五郎
学生諸君が日本に対して亡命を要望した。それを無視して自分たちの船が危険だということを理由にして、この30数名の人を最も危険な韓国の警備船に引き渡すなどということは、これは非人道きわまる私は暴挙だと思うのです。外相はそういうことが国際慣行だとおっしゃいますが、これは全く的はずれな答弁だと思うのです。
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- 昭和57年08月03日 参議院 法務委員会
日共と在日の事件 ~ ソースは国会議事録
・神奈川税務署員殉職事件 19470623
・浜松事件 19480404~05
・犬山事件 19480408
・阪神教育事件 19480414~26
・宇部事件 19481209
・姫路事件 19481210
・益田事件 19481225~26
・平事件 19490630
・下関事件 19490820
・武生事件 19490920
・台東会館事件 19500310・20
・人民広場事件 19500530
・朝鮮戦争勃発 19500625
・長田区役所襲撃事件 19501120~27
・大津地方検察庁襲撃事件 19501201
・円山公園事件 19501209
・王子朝鮮人学校事件 19510307
・浅草米兵暴行事件 19510321
・東成警察署襲撃事件 19511201
・練馬事件 19511226
・白鳥事件 19520121
・田口事件 19520203
・京都事件 19520223・0320
・広島事件 19520301
・静岡地方裁判所事件 19520414
・血のメーデー事件 19520501
・京都メーデー事件 19520501
・広島地裁被疑者奪回事件 19520513
・大阪地方裁判所堺支部事件 19520515
・吹田事件 19520625
・横川元代議士襲撃事件 19520807
・大村収容所事件 19521111
・朝鮮戦争休戦協定締結 19530727
・浜松事件 19480404~05
・犬山事件 19480408
・阪神教育事件 19480414~26
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・朝鮮戦争休戦協定締結 19530727