2019年5月21日火曜日

昭和24年11月07日 衆議院 法務委員会

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/006/0488/00611070488002a.html

[006]
日本共産党 梨木作次郎
私は実は法務総裁に伺いたいことがあったわけでありますが、今日は法務総裁が見えていないようでありますから、特別審査局長の吉河さんが見えておりますから、朝鮮人連盟解散に関する総括的の問題について、法務総裁に対する質問は留保しておきまして、それでは技術的な点を吉河さんに伺うことにいたします。

第一にお伺いいたしたいのは、朝鮮人連盟並びに朝鮮民主青年同盟、これが団体等規正令に基いて解散させられたのでありますが、この解散についての理由に関しては新聞などにも報道されておりますが、たとえばこれらの団体が反占領軍行為をしたとか、暴力主義の是認をするような事実があったとかということをあげておるのでありますが、まずこの点について具体的にその事実をあげ、さらにそれを裏づけるところの証拠を第一番に伺いたいと思います。

[007]
政府委員(特別審査局長官) 吉河光貞
御質問になりました朝連並びに民青を解散指定に援用せられました事実、占領軍反対反抗事犯につきましては数件ありました。また暴力事犯のおもなるものだけでも数十件、全部で数百件の多きに達するのであります。これらの事案の代表的なものは、さきに解散当時新聞等に発表したものでありまするが、なおその詳細につきましては、一々ここで申し述べる時間のお許しを得れば申し上げたいと存ずるのであります。これらの事犯の大部分は、いずれも公判廷において審理を受けた資料を使用したものでありまして、それ以外のものにおきましても、証人の供述その他客観的な資料に基くものであります。時間のお許しを得れば逐一申し上げたいと存じております。いかがでございましょうか。

[008]
日本共産党 梨木作次郎
どれくらいの時間がかかりますか、もしあまり時間がかかるようならば、書面で出していただいてもよろしゅうございます。それから裁判を経ておると言われますが、この新聞の記事によりますと、たとえば平事件なんかというものを例にとっておりますが、平事件はまだ公判の進行中だと思うのです。こういう問題もその理由の中に取上げておるようでありますが、こういう点、それからたとえばその証拠としてあげられるものの中に、具体的に一つの暴力主義的な行動や、あるいは反占領軍的な行動があったといたしましても、それが朝鮮人連盟や、民主青年同盟という団体の指導的な方針として、基本的な方針として、そんなものがとられておるということの証拠が一体あるのかどうか、こういう点はそう時間はかからないと思いますから、そういうものがあったらこれを示してもらいたい。

[009]
政府委員(特別審査局長官) 吉河光貞
それでは先ほど申し上げた朝連、民青の解散に援用いたしましたる数々の具体的なる資料につきましては、後日書面をもってお答えすることにいたします。またただいま御質問になりました平事件は公判中であるにもかかわらず、これに朝連構成員が参加した事実を証拠に採用したのはどういうわけかという御質問がありました。この点につきましては、なるほど公判は平事件に参加いたしましたる個人の刑事責任の有無を審判いたしておるのでありまするが、この事件に朝連関係者多数が集団的に参加いたしましたることは、公判の認定をまつまでもなく、十分なる資料によりまして、関係人の証言その他の資料によりまして、十分明瞭なるものと思料いたしましたので、これを援用いたしました次第であります。

次に占領軍反抗反対または暴力行為は個人として問題にすべきものである。これが朝連または民青が暴力主義的かつ反民主主義的な団体と認定される問題とは、直接関係がないのではなかろうかという御質問の趣旨と考えまするが、この点につきまして朝連並びに民青の構成員が、多年全国各地において反占領軍並びに暴力主義的な事犯を反復累行しております。

しかもこれらの事犯のほとんど大部分が、これらの団体の幹部の指導下に、しかも集団的に敢行されているという事実を初め、これらの事案の動機、内容、事後の状況をしさいに検討し、さらに進んでこれらの団体自体が、この事案の背景となっておるというような諸般の事実を総合いたしますと、これらの事案がいずれもこれら団体構成員の単なる個人的犯行ではなく、また地域的犯行とも認められず、むしろ中央、地方を一体とする団体の行為と認定せざるを得なかったのであります。

かような次第で朝連並びに民青を暴力主義的かつ反民主主義的団体と認定した次第であります。

[010]
日本共産党 梨木作次郎
私の伺いたいのは、そういう多年全国各地で反復累行したというようなこと、しかもそれがこれら2団体の指導のもとに行われたということの具体的なる証拠を示してもらいたいというのであります。たとえば指令が出ておるとか、どこでどういうぐあいに指導したとか、こういう点を示してもらいたいと思います。

[011]
政府委員(特別審査局長官) 吉河光貞
私どもといたしましては、これらすべての暴力主義的な事犯などが、朝連または民青の指導のもとに行われたというふうに申し上げているのではないのであります。

これらの朝連及び民青による集団的なこれらの事犯の累積によりまして、朝連並びに民青が暴力主義的団体たるの性格を持つに至ったものである、かように認定した次第でありまして、その具体的な内容につきましては、先ほど申し上げました通りに、後日書面をもって事案の内容を申し上げたいと考えておる次第でございます。

[012]
日本共産党 梨木作次郎
それでは一方これらの2団体、特に朝鮮人連盟が、終戦後内地におりました朝鮮人諸君の朝鮮への送還に非常に日本政府に協力し、それから朝鮮人の中におけるところの犯罪防止のために警察当局と協力したような事実、それからこの団体が日本における朝鮮人諸君の民主主義的な教育のために努力して来た事実、こういう点は政府は認めるのですか、認めないのですか。

[013]
政府委員(特別審査局長官) 吉河光貞
私どもとしましては、朝連及び民青が他にいかなる行為をしたかということは、団体等規正令の適用においては問題にしてはいないのであります。

ただいま申し上げた占領軍反抗、反対並びに数々の暴力主義的な事犯が朝連、民青の団体的活動として行われたという事実をとらえて、朝連並びに民青が解散すべき暴力主義的かつ反民主主義的団体であると認定した次第であります。

[014]
日本共産党 梨木作次郎
つまり一つの団体がそういう団体等規正令に該当するような性格を持っておるかどうかということは、この団体が全体としてどういう活動をしているかということを客観的に見なければならぬと思うのであります。

従って政府の見ているように、そういう政府があげているような事実があったとしましても、また一方この団体が日本の民主主義化に協力し、また日本の政府の政策に協力し、占領政策に協力しているという事実、この方がより多くあるならば、むしろその団体は民主主義的な団体だというように評価するのが、これがものを評価する最も常識的な評価であると思うのであります。だからこの点について、政府は今までこの朝鮮人連盟が行って来たそういう活動や仕事について、どの程度の評価をしているかということを伺いたいのです。

[015]
政府委員(特別審査局長官) 吉河光貞
ただいま申し上げました通り、団体が他に掲げている目的、効力、あるいは他に行っている活動等につきましては、団体等規正令の適用についてはこれを考慮いたしていないのであります。

[016]
日本共産党 梨木作次郎
それでは今の調査を伺いますと、悪い面だけをとらえて、そしていい面を全然無視してこの団体等規正令に該当すると規定した、こういうように伺ってよろしいわけですね。

[017]
政府委員(特別審査局長官) 吉河光貞
御説の通りです。

[018]
日本共産党 梨木作次郎
この認定をするまでにはどういう調査をし、そしてこれはだれによって認定されたか、こういう点を少し事務的に伺いたいと思います。

[019]
政府委員(特別審査局長官) 吉河光貞
調査は私ども特別審査局によっていたしました。特別審査局におきましては、検察庁、裁判所その他関係各機関に連絡いたしまして、ただいま申し上げた朝連の、民青の過去における数々の資料を収集いたしました。また朝連、民青の具体的な活動につきまして、特審みずからも調査をいたしました。これらの調査に基きまして、法務総裁が団体等規正令によって与えられたる権限に基いて認定したわけでございます。



(略)



[030]
日本社会党(社会民主党) 猪俣浩三
関連いたしまして一つお尋ねいたしたいのでありますが、抽象的な問題でありますけれども、全国的に統一せられたる団体の中央部は東京にあって、各府県に支部がある。この支部が暴力行動をやっている場合に、本部がこれを容認している態度をとる。こういう本部が容認している態度自体によって、全体の団体が暴力行動を是認し、あるいは助長するというように、団体等規正令の精神上お認めになるのであるか、ならぬのであるか、その点をお聞かせ願いたいと思います。

[031]
政府委員(特別審査局長官) 吉河光貞
お説のような場合も、抽象的、一般的にはあり得ると考えるのでありますが、団体等規正令の適用につきましては、なるべく具体的な事案に即して、客観的な資料をもちまして、法令の適用を云々して行きたいと考えております。

非常に無責任な答弁かもしれませんが、お説のような場合には、あるいはその当該団体全体が団体等規正令第2条該当の不法団体と認定され得るような場合もあり得ると考えるわけであります。

[032]
日本社会党(社会民主党) 猪俣浩三
そうすると、たとえば今朝連の例をとってみますが、朝連の本部としては何らの指令を発しない。その間の連絡というものは認められないけれども、各支部において暴力行動があちらにもこちらにも起って来た。しかるに本部はそれに対して何らの措置をとっておらないというその消極的態度によって、やはり本部それ自体が暴力を容認する、助長する団体だと認める場合があるというような御見地からも、今回の朝連の解散問題が起ったというような点があるのでありますか、これをお聞かせ願いたい。

[033]
政府委員(特別審査局長官) 吉河光貞
統一的な団体の全国各地方における支部の暴力的な事犯がどの程度に発しましたときに、当該団体の全体が暴力主義的性格を持つに至るかということは、事実認定の問題でございまして、御質問のような場合も当然考慮される問題であると考えるわけであります。

[034]
日本社会党(社会民主党) 猪俣浩三
私の今の質問とピントがはずれているのですが、今回の朝連事件がさような見解のもとにやった部分があるかどうかという質問なのであります。

[035]
政府委員(特別審査局長官) 吉河光貞
お説の通りであります。

[036]
日本社会党(社会民主党) 猪俣浩三
さようでありますと、解散は刑罰それ自体ではないにいたしましても、団体の生命を絶つ一つの行動であるが、従来の刑罰理論から考えまして、容認というような消極的態度を、ただちに解散というふうな積極的な断定の条件にするというようなことは、今までの刑罰理論と合致することになりますかどうか、御意見を承りたいと思います。

[037]
政府委員(特別審査局長官) 吉河光貞
団体等規正令の認定は、刑罰法令の個人の刑事責任を追究する認定とはいささか違う趣があるかと思いますが、ただ御質問の朝連本部におきましては、本部自体に暴力的事犯が数件あるのでありまして、ただ支部の行動を漫然と容認したというようなことだけで、当該団体全体を暴力主義であると認定したわけではございません。



(略)



[041]
日本共産党 梨木作次郎
先ほどちょっと質問の中でお尋ねするのを失念いたしたのでありますが、これら解散された2つの団体について、暴力主義的な傾向やあるいは反占領軍的な行動が累積されて、そうしてそういう性格の団体と認定するようになった。こういう御答弁でありましたが、そういう累積の結果、政府がそのように認定するに至った時期はいつごろでありますか。

[042]
政府委員(特別審査局長官) 吉河光貞
累積と申し上げますと、たいへん言葉が強く響くかと思われますが、御質問の要点である朝連が、団体等規正令4条該当の性格を持つに至った時期は、大体昭和21年4月下旬と考えております。

この時期は、連合軍最高司令部より、朝連が結成いたしましたる朝鮮人自治隊のごとき、いかなる警察機関をも許さずといいまして、自治隊の解散命令を受けた時期でありまして、御承知の通り朝連は、昭和21年1月ごろより自治隊または保安隊を結成して、実力行使に出る傾向を持つに至りました。人民裁判、不法監禁、家宅捜査、経済取締り、摘発等のいわゆる警察類似行為を初め、朝連組織維持のためにする、朝鮮引揚げ列車の妨害等数々の行為に及びましたので、総司令部から昭和21年2月19日、刑事裁判の行使に関する覚書が発せられ、在留朝鮮人は日本法憲に服すべきことが規定せらるるとともに、さらに朝鮮人自治隊のごとき、いかなる警察機関もこれを許さずとして、同年4月24日同隊は総司令部の命令によって解散せられておるのであります。

この時期から次第にただいま申し上げたような性格を持つに至り、次第にその程度を深めるに至ったものと考えておる次第でございます。

[043]
日本共産党 梨木作次郎
そういたしますと、金天海という人が、この解散に伴うて公職追放の指定を受けておるのでありますが、私の聞いたところによりますと、その金天海君は朝連の当初の顧問に推薦されておった。今御答弁の21年4月下旬以前だということになりますならば、この公職追放の指定は不当だということになると私は思うのであります。この点、私ども事実関係はまだはっきりしておりませんが、私が今お伺いしたのは、もし金天海君が顧問に就任しておったのが21年4月以前だということになれば、この公職追放の指定は取消さるべきものと理解するので、この点を伺いたいと思います。

[044]
政府委員(特別審査局長官) 吉河光貞
実は御質問の趣旨にもありました通り、金天海さんはその後にわたっておるのでありまして、金天海さんみずから申されておる通り、22年10月15日まで明確に顧問となっておられます。なお顧問以外の要職についても、数々の資料があるのでございます。これは金天海さんみずからお出しになった調査書にも書いてあるような次第であります。御了承を願います。

日共と在日の事件 ~ ソースは国会議事録

神奈川税務署員殉職事件      19470623
浜松事件             19480404~05
犬山事件             19480408
阪神教育事件           19480414~26
宇部事件             19481209
姫路事件             19481210
益田事件             19481225~26
平事件              19490630
下関事件             19490820
武生事件             19490920
台東会館事件           19500310・20
人民広場事件           19500530
・朝鮮戦争勃発           19500625
長田区役所襲撃事件        19501120~27
大津地方検察庁襲撃事件      19501201
円山公園事件           19501209
王子朝鮮人学校事件        19510307
浅草米兵暴行事件         19510321
東成警察署襲撃事件        19511201
練馬事件             19511226
白鳥事件             19520121
田口事件             19520203
京都事件             19520223・0320
広島事件             19520301
静岡地方裁判所事件        19520414
血のメーデー事件         19520501
京都メーデー事件         19520501
広島地裁被疑者奪回事件      19520513
大阪地方裁判所堺支部事件     19520515
吹田事件             19520625
横川元代議士襲撃事件       19520807
大村収容所事件          19521111
・朝鮮戦争休戦協定締結       19530727