2019年6月1日土曜日

昭和27年05月08日 衆議院 文部委員会

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/013/0804/01305080804020a.html

[023]
日本共産党 渡部義通
メーデー事件その他のいわゆる学生事件という問題について、若干質問をしたいと思いますが、その際私申し上げておかなければならぬことは、メーデー事件のような、あるいはその他いろいろ学校当局と官憲とが衝突したような場合に、いつも学生が悪いんだというような見地から報告され、また学生が悪いんだというような立場から問題の解決が提出されるように見えるのでありますが、しかしわれわれはもっと事態を認識してからはっきり報告し、かつ認識された後にどうすべきかということを、お互いに考えてみる必要があると思うのであります。

今度の事件にしましても、きわめて計画的に事実が歪曲されております。われわれが多くの目撃者から収集した資料によりますと、政府当局が発表し、あるいは新聞の一部が報道したような内容とは、はなはだ異なった事件の性質があるのであって、しかも文部当局としましては、政治をやるものとしましては、この事件の内部で起った個々の問題ではなくて、このような事件がなぜ起きたのか、この事件の本質と歴史的な意義というものはどこにあるかということについて、深く反省してみる必要があると私は思う。これは実に重大な事件であります。

第一に、私はこういう点について御報告申し上げてこれについての御意見を聞きたいと思う。この問題に対する当局の発表というものは、非常に計画的に歪曲されておる。

第1に、これは全学連と朝鮮人とそれから自由労働者のわずか8000ないし1万の人々によって引起された破壊的な行為であるというようなことが、既定的に言われております。しかしながら、そうではない。このような形で、事柄がごく一部の特殊な人たちだけによる単なる破壊的暴力的な行為だと考えるところに、あるいはそういうふうに宣伝するところに、計画的な歪曲があるのであります。そうではない。この問題は、実は数年の間アメリカ帝国主義者によって占領されておった国民が、ことに再軍備が強行され、破防法が強引に国会に提出されているという中で、アメリカ帝国主義者に対して、またその手先であるものに対して、日本国民の大きな不平、不満というものが爆発したんだ、公然とした形での抵抗運動が開始されたという重大な事柄である。これはこの要素をまったく無視している。これを無視しては、この事件の性質というものは少しも真実に触れることはできないと思う。これを無視しておるところに、一部の者に限ってこれがやられた破壊行為だというようなことに限って報告されるところに、実はこの問題の重大さの前に戦慄を覚えたところの政府や、アメリカ帝国主義者の計画的な事柄があったと思うのです。またそうすることによって、破防法を一挙に通過させようとする陰謀も、この報道の中に、報告の中になされておる……。

[024]
委員長 竹尾弌
渡部君に御注意申し上げます。学校教育に関する問題でございますから、あまり問題から離れないように、簡単にひとつお願いいたします。

[025]
日本共産党 渡部義通
わかりました。――事の本質をはっきりさせておかないと、政府の発表せられただけでは、私たちは質疑応答の真実に触れることはできない。こんな真剣な問題について、笑いながらやっているべきときじゃない。今申し上げたように、この問題は、とにかく現在の政府の施政が、そうして、ことにそれがアメリカ帝国主義者によってなされているということに対する国民的の反感の集中的な現われとして出たのであって、これは4・12、4・18のゼネストとったく同じ性質を持っておるものである。まったく同じ性質が、異なった形で現われたにすぎません。再軍備に反対し、破防法に反対するという、そうして日本の民族の独立と平和を守らなければならぬという国民の気持あるいは国民の意思が、ある場合には労働者のゼネストとなって現われるのであり、ある条件のもとでは、たとえば人民広場におけるように、警官が民衆の正々堂々とした進撃に対して破壊的な暴力的な弾圧を加えて来るような場合には、真剣に日本の独立と平和を守らなければならないとする民衆、ゼネストを闘ったところの人たちは、同時に警官の暴力に対しては、実力をもって対抗しなければならぬわけです。それなしには、一歩も問題を解決することができないところにまで民衆は押し詰められておるのです。

そこで、私は大臣にお聞きしたいのでありますが、大学の学生が事を起す場合に、いつも学生が悪いんだ、学生が一部の人たちによって煽動されたんだというふうに考えますけれども、事の本質を見てごらんなさい。学生は一体何のために今日ああいうふうな真剣な動きを示しておるかという、何のためかという問題を一つ考えてごらんなさい。

(「一部分だけだよ」と呼ぶ者あり)

そうではありません。すべての学生が注意して関心を持っておることは、今日自分たちが、学校において満足な教育を受けることができないほど生活も窮乏しておる。しかも生活をそのように窮乏させておる問題は、これは教育費が非常に多く軍事費負担のために削減されているということに原因するものであり、またそういう現在の政治からして、自分たちの家庭が非常に窮乏して来ておるということに原因があるんだということを、学生たちは全部感じております。そういう問題の上に立って、しかも今再軍備がどんどん進められようとすれば、学生諸君にとっては、自分たちがその再軍備の中に巻き込まれて、自分たちが再び戦争に動員されて生命さえも失わなければならないかもしれない、こういうことに対して学生は不安で反対の気分が非常に強いということは事実であります。これを文相はどういうふうに認められるか、同時にまた学生諸君は、このような状態が進んで行くならば、日本はさらにアメリカ帝国主義者の隷属のもとに、日本民族全体の破綻、あるいは全体の破滅的な状態に追い込められないとも限らないという現状に対する純真な憂えから、学生諸君は、どうかしてこのような状態はかえて行かなければならない、このような状態をかえるためには、国内においては再軍備政策をやめて、そうして日本国民自身の手による自由な経済の発展、自由な民主主義的な状態の確立、そのためにはまたアメリカ帝国主義の日本支配というものをかえて行かなければならない、アメリカ帝国主義を日本から追い払うことが前提であるんだ、こういう真剣な気持を学生諸君は持っておるのです。こういう前提がなかったならば、学生運動というものが今日起るはずはありません。従って、すべての学生運動というものは、今申し上げたような客観的な、政治経済的な事実の中から、今日生れて来ておるのであります。この学生運動がどこから生れて来るのかという問題を考えることなしに、学生運動の性質、学生運動をどうするかとう問題を考えることはできないはずであります。大臣はこの点、それでもできると考えられるかどうか、これが第2点であります。

第3点は、学生諸君がそのような情勢のもとに、そのような気持と意思とをもって真剣に、純真に、自分たちの考えを貫いて行かなければならぬ、それを貫くことこそが、自分たち学生の生活を守るだけでなしに、学生の権利と自由を守ることによって、同時に日本人の権利と自由を守ることになるのであるし、またそのようにしてのみ日本の独立と世界の平和が守られるんだという学生の純真さと確信から出るところの行動に対して、そういう学校内においてもまた学外において、国民に訴えようとする学生たちの動きに対しまして、初めから徹底的に弾圧を加えて来る。学園の自由を侵して学内に侵入して警官が弾圧を加えるだけでなしに、平和に署名の運動をやっておる者に対して、暴力的な弾圧を鉄かぶとが加えて来る。それならば、一体学生たちは、どうして自分たちの意見を伝えて行って、自分たちの目的を達する動きを大きくして行くことができるのでありましょうか。学生は、そういう鉄かぶとの襲撃に対して、これを排除することなしには、どうしても自分たちの利益を一歩も前進することができない状態に今日追い込められておる。この点を文部大臣はどういうふうに考えられるか。従って学生の運動、純真にして、また日本民族の独立と平和を守ろうとする、そのやむにやまれない熱意を国民の前に伝えようとし、それによって国民と結びついて自分たちの目的を達しようとする学生の動きに対して徹底的な弾圧を最初に加えて来る警官隊、あるいは政府の政策でありましょうが、そういう事柄について、どういうふうに考えられるか、この3点をまずお聞きします。

[026]
文部大臣 天野貞祐
人間は動物と違って、いつでも理想を持っておるのでございます。理想の実現ということが人間の本質なのです。だから、現実には満足しないというのが、人間の大体の傾向なのです。ことに、若い人たちが現実に不満足を感ずるというのは、当然だといってもよいくらいなのであります。ただわれわれは、いかにして理想を実現するかが問題であります。憲法を破壊し、暴力をもって理想を実現しようということは、徹底的に排撃しなければならぬと考えております。



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