[146]
証人(全国繊維産業労働組合同盟会長) 瀧田實
次に5月の10日に「メーデー騒擾の実態をつく」という談話を発表いたしておりますが、これはすでにお手元に持っておられるようですから、読み上げましょうか。それとも省略いたしましょうか。
[147]
委員長 内藤隆
速記にもとめておきたいと思いますから、読んでください。
[148]
証人(全国繊維産業労働組合同盟会長) 瀧田實
前文を読みますか。
[149]
委員長 内藤隆
ひとつ全文を読んでください。
[150]
証人(全国繊維産業労働組合同盟会長) 瀧田實
前文はこれは機関紙の事務当局として載せてあるのですから、必要がないように思いますが……。
[151]
委員長 内藤隆
あなたは必要なくとも、読んでくださいと言ったら、読んでくれればいいのです。
[152]
証人(全国繊維産業労働組合同盟会長) 瀧田實
そうきつく言わないでください。おっしゃる通り読みますから……。
「戦後初の独立メーデーとして幾10万の勤労大衆の参加をみた第23回中央メーデーは、示威行進解散後における一部共産系の暴力主義者のため、遂に未曽有の騒擾事件を引起し、栄えある労働者の祭典に一大汚点を印し、独立回復直後の日本の国際信用を大きく失墜させるに至った。健全労働組合主義の立場を堅持するわが全繊同盟では、事態を重大視し、2日瀧田会長は特に談話を発表して、傘下全組合員の注意を喚起した。
(1)独立後、初のメーデー、しかも、労働者の厳粛な祭典たるべきメーデーが、外部勢力に完全に利用され、ふみにじられた。中央演壇付近は計画的に共産党員と朝鮮人によって占められていた。
(2)祝辞の人選が民主的な労働組合の域をまったく逸脱して共産党、労農党とそれらに同調する人々に重点を置き、労働組合としての本来の姿を失い、政治的、極左的アジに終始したことが共産党の計画的暴力に油を注いだ。
(3)大衆動員に対する指導と計画に慎重さを欠き、混乱が起きた場合の対策がきわめて不十分だった。特に警備に関しては実行委員会は責任が大きい。
(4)メーデーに直接参加する資格のない全学連のデモ隊(数1000名)を会場に入れたことが混乱を一層助長した。全学連は、明らかに共産党の細胞組織としての行動をしていた。スターリン、金日成、徳田球一らの像を入れたプラカードが彼らの手に掲げられていたことが全体の動向を如実に表明している。
(5)宮城前広場と神宮外苑の会場とは、メーデーとしては無関係だ。ただ、それを口実に暴力行為の動員へ大衆をかり立てようとしたものとしか考えられない。竹やりやしない、目つぶし、小石、火災びんなど、労働者の祭典にまったく不必要なものを所持していたことからも明らかである。
(6)かかる暴挙をもって、あたかも小戦場化したことが、折から破防法の審議が国会でなされつつあるとき、政府をしてますますその必要性に口実を与え、世論もまた組合に不利を招来したことは事実である。
(7)以上の事態を惹起したことについて、中央メーデーの主役をなした総評が日共と統一メーデーをしたことに大きな誤りがある。大会はその誤りを拡大して、利用され牛耳られたのである。
右のごとき実情を真実として組合員に知らせることが将来労働組合をして健全に育てるゆえんであると考える。総評は実行委員会の主体的役割をしているから、いずれ委員会としての声明を発するであろう、問題の焦点をぼかしては今後の民主的労働組合の発展はあり得ないので、赤裸々に、全組合員に知らせ、今回の不祥事件の反省のかてとしてこの見解を述べるものである。
(昭和27年5月2日)」
(1)独立後、初のメーデー、しかも、労働者の厳粛な祭典たるべきメーデーが、外部勢力に完全に利用され、ふみにじられた。中央演壇付近は計画的に共産党員と朝鮮人によって占められていた。
(2)祝辞の人選が民主的な労働組合の域をまったく逸脱して共産党、労農党とそれらに同調する人々に重点を置き、労働組合としての本来の姿を失い、政治的、極左的アジに終始したことが共産党の計画的暴力に油を注いだ。
(3)大衆動員に対する指導と計画に慎重さを欠き、混乱が起きた場合の対策がきわめて不十分だった。特に警備に関しては実行委員会は責任が大きい。
(4)メーデーに直接参加する資格のない全学連のデモ隊(数1000名)を会場に入れたことが混乱を一層助長した。全学連は、明らかに共産党の細胞組織としての行動をしていた。スターリン、金日成、徳田球一らの像を入れたプラカードが彼らの手に掲げられていたことが全体の動向を如実に表明している。
(5)宮城前広場と神宮外苑の会場とは、メーデーとしては無関係だ。ただ、それを口実に暴力行為の動員へ大衆をかり立てようとしたものとしか考えられない。竹やりやしない、目つぶし、小石、火災びんなど、労働者の祭典にまったく不必要なものを所持していたことからも明らかである。
(6)かかる暴挙をもって、あたかも小戦場化したことが、折から破防法の審議が国会でなされつつあるとき、政府をしてますますその必要性に口実を与え、世論もまた組合に不利を招来したことは事実である。
(7)以上の事態を惹起したことについて、中央メーデーの主役をなした総評が日共と統一メーデーをしたことに大きな誤りがある。大会はその誤りを拡大して、利用され牛耳られたのである。
右のごとき実情を真実として組合員に知らせることが将来労働組合をして健全に育てるゆえんであると考える。総評は実行委員会の主体的役割をしているから、いずれ委員会としての声明を発するであろう、問題の焦点をぼかしては今後の民主的労働組合の発展はあり得ないので、赤裸々に、全組合員に知らせ、今回の不祥事件の反省のかてとしてこの見解を述べるものである。
(昭和27年5月2日)」
以上であります。
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