2019年5月28日火曜日

昭和26年03月15日 衆議院 法務委員会

[009]
日本共産党 上村進
まず第1に、3月7日に東京都北区の朝鮮人学校において、その前に行われた朝鮮人の不当な捜査に対する事件真相発表演説会というものが持たれました。

そのときに、朝鮮人の会合する者2000人、これに対して約3000の警官が参りまして、それを解散しようとしたのでありますが、その光景を写さんといたしまして、日本ニュースのカメラマンの松本久彌君がそこへ行って撮影しておったのでございます。ところがその撮影が当時の警官の気に入らぬために、そこで暴行を力えられ、右後頭部に非常に強烈な打撃を加えられて、鮮血淋漓たる状態になって昏倒したのでございます。この事実を一体法務府ではお調べになっておりますか。お調べになったとすれば、暴行を加えた警官の人たちを取調べておるかどうか、そういう点について詳細の御説明を願いたいのであります。

[010]
政府委員(検事(法務府検務局長)) 高橋一郎
ただいまのお話にあります3月7日の王子の朝鮮人学校における事件でありますが、この事件につきましては現在公務執行妨害罪の現行犯として11名を検挙いたしましてそのうち8名を勾留して取調べ中であります。

これは当日同学校におきまして、現在禁止されております政治的な集会をやろうということで集まって参りました多数の人々に対しまして、解散をさせようとして、押し出そうとした際のできごとでありますが、その間ただいまお話の日本ニュースのカメラマンが負傷したという事件が起っておるのであります。この事件において、松本というカメラマンをなぐった者がだれであるかということは、現在までのところわかっておりません。しかし本件の公務執行妨害の一連の関係といたしまして、当然検察庁としてはこれを明らかにする責任を持っております。そういう意味で現在捜査中で、結論を申し上げるわけに参りませんが、これは検察庁としてもよく調べるつもりで現在捜査中であります。



(略)



[019]
日本共産党 上村進
なお最近において官憲と人民の間に起きた紛争事件で、こん棒、ピストル等によって負傷者が出ておるのが相当あるのであります。去年の9月4日に渋谷職安事件で、こん棒でなぐられて負傷者が20数名出ております。なお去年の9月5日にやはり新宿職安で17名が大体2週間に近い治療期間の傷を負わせられておる。去年の10月の27日には電業社事件で御案内の警官のピストルの乱射によって重傷者1名を出しております。そのほか東日本重工下丸子事件、こういうのが最近では相当多い。それに2回にわたる朝鮮人学校事件等で、警官のこん棒その他の暴行によって数100名の負傷者を出しおることが、われわれの調べによって明らかになっております。

こういう点を見ますると、私どもは新憲法が人権を擁護するというけれども、その反面にこういうことをやられて、どこにも訴えることができぬということになれば、人民の権利はまことに風前のともし火という形であります。これらのことを考えると、戦争前の警官はサーベルを持っておったけれども、われわれは長い間労働争議、農民争議に携わって来たのだが、今ほど警官が人民に負傷を負わしてはいなかった。時代が進んでいるにかかわらず官憲のこういうことが増加して来るということは、何といってもこれは取締当局において十分御注意を願わなければならはい。その反面におきましては警官のいわゆる素質がたいへん低下して来ておる、こう言うことができると思うのであります。こういう原因をなしたのは、要するにこん棒並びにピストルという武器を警官に持たしたということであろうと思うのでありますが、あれも全然必要でないとは私は言いませんが、そういうものをぶら下げておる、持っておるということが、たいへんあやまちをする、行き過ぎをする原因であろうと思う。これらに対しまして、今後法務府におきましては、これらの使用に対して十分な制限と注意が必要だと思いますが、それらに対してどういうお考えをお持ちでございましょうか。

[020]
政府委員(検事(法務府検務局長)) 高橋一郎
昨年夏ごろ以来、全国各地に相当規模の集団暴力事犯が続発いたしました。この種の事犯を警備あるいは検挙するためには、警察職員といたしましても、場合によりまして、警察官等職務執行法の許す範囲内において、やむを得ずこん棒等による実力の行使という不幸な事態を惹起する場合があることは事実であります。しかしそのような集団的暴力事犯というものは、これはやはり何としても取締らなければならない問題でございますので、まことに不幸な事態ではありますけれども、それをもってすべて職権濫用である、越権であるというようなことは申せないのではないか。現に3月7日の王子の事件におきましても、警察官側にも28名の負傷者を出して、うち11名は入院加療を要する程度のものであります。

一般的に申しまして、警察官等職務執行法による職務執行等の場合でありましても、拳銃によります事故がときどきございまして、法律の許す限度を越えておりますものにつきましては、これは十分注意して、そのようなことのないようにしなければならないと思っております。そのようなことに対しまして、法務府側としてできますことは、そういう事件が起った後におきまして、それの捜査及び処理を厳格にするということでございます。法務府としてはそういう方針をとっております。ことに最近のその種事件は、いわゆる過失あるいは故意の犯罪の嫌疑がかなり薄い場合でありましても、必ずうやむやにしないで、これを検察庁で事件として立てまして、公正なる処理をするように、こういう通達を出しまして、各地におきましてもそういう方針で事件を処理しておるわけでありまして、お話のように、そういうピストルなどによりまする不測の不必要な人命あるいは身体の侵害というようなことは絶無というように希望しておるわけであります。

[021]
日本共産党 上村進
警察の取締りについて、われわれがかれこれ申すのではありませんが、必要以上に警官を動員して、必要以上に人民を刺激してかかっておるという傾向が多いのです。現に朝鮮人の3月7日の事件でも、わずか2000人ぐらいのところへ警官3000人も動員しておる。そういうふうに必要以上に大勢動員をしますから、むろんそっちの方は士気があがって、すぐこん棒を振りかざして、なぐり込んで行く。それで民衆が黙っておれば問題ないのですが、民衆といえども生きておる人間であるから、必ず感情が高ぶって来て、そこに衝突するわけでございます。結局大きい立場から言うならば、警官の方で挑発をして、人民を検挙するという形が現れて来ておるわけです。



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