昭和24年10月29日 衆議院 本会議

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/006/0512/00610290512003a.html

[011]
民主自由党　鍛冶良作
考査特別委員会におきましては、7月より9月に至る3箇月間に、日本再建に重大なる悪影響を及ぼすものといたしまして、1、国電スト事件、2、国鉄労組中央委員会の実力行使決議事件、3、平市を巡る騒動事件、4、広島日鋼製作所争議事件の4つが調査の必要ありとの決議によって調査に従ったのであります。そのため委員会を開くこと21回、喚問した証人実に80名に達し、さらに福島県及び広島市に委員を派遣して実地調査及び証人尋問を行った次第であります。調査の結果は、別にその詳細を別冊報告書によって御報告することにしてありますから、それによって御承知を願うこととし、ここでは各事件につきそのあらましを述べまして、これに考査の結果得ました結論をつけ加えて御報告したいと存じます。（拍手）

（略）

内郷は平市から南へ約1里半のところにある町でありますが、ここの自治警察署長のところへ、6月27日に平市署に応援を出したのは不当の弾圧であるとして、同日午後8時30分ごろ、平からの引揚部隊約80名に、矢郷炭鉱の山元から来た40名と計120名の者が抗議デモに来ました。そうして、矢郷炭鉱の労働争議を断圧したのはけしからぬから謝罪しろという要求を出して、脅迫的言辞を述べ、午後9時10分ごろ引揚げた。また30日には、午後2時5分ごろ、共産党員及び労働者並びに朝連の人々約150名が押し寄せ、罵詈雑言を浴びせて、矢郷炭鉱の労働運動を取締らぬこと、平市署へ応援を出さぬことを誓約せよと迫り、現在の状況では応援しないと答えると、確かに応援に行かぬなと念を押して、約束時間に来たからと、午後3時ごろに引揚げました。この日ここへ来たのは、当日平市署を襲撃する手はずになっていたので、牽制して応援をださせないようにしたのはもちろんであります。

湯本も平市から南3里ほどのところにある町でありますが、ここへは、6月28日午後3時過ぎに、朝連石城支部長金明福と、共産党石城地区委員長鈴木光雄その他数名の者が、湯本町警察署長に面会を求めて、内郷の場合と同様に、27日に平市に応援を出したことについて詰問し、かつ労働運動のだんあつをしないことについて約束を強要したのであります。そのうちに、署外には150～160名の者が集まって赤旗を振り、インターを歌って気勢をあげました。30日の午前10時に、共産党員及び朝連の者などが約230名押しかけて来まして、これも平市署に応援を出さぬと誓約しろと迫ったのであります。内郷の場合とまったく同様に、この日平市署を襲う計画があったので、この牽制策を講じたものと断定し得るのであります。

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